「生きることを感じる」【令和六年 春分の断食護摩修行体験記】
「生きることを感じる」【令和六年 春分の断食護摩修行体験記】
先日のお彼岸の入りに、京都綾部の山の中にて三日間の断食護摩修行を行ってきた。
自然の産物そのものである食と水を断ち、自然の有り難みを体感し、非自然な日常による乱れた心身を整え、魂すなわちこの世界の根源との繋がりを取り戻す。
断食中に合計七座の護摩行を行う。
護摩修行では、不動明王を護摩の炎に降ろす。
不動明王は大日如来の化身と言われている。
また仏教では、衆生は皆仏だと教える。
山川草木も皆仏であると教える。
皆仏であるということは、私たちは不動明王、大日如来ともともと一体である。
炎の力を借りて、人間に不動明王を感じやすいようにし、またすべては一体であることを体感する。
一体であることを体感することで、自分自身のピュアな姿が見えてくる。
この世界は、「色即是空」であり「空即是色」であると仏教は伝える。
“色”とは人間に認識できる現象・現実のこと。
“空”とはこの世界の根源のなにかのこと。
色は空であり、空は色である。
なぜ宇宙が生まれ、なぜ宇宙の理が存在しているのかを人間が語れないように、空についてはだれも真実を語ることはできない。
しかし現実に宇宙が在るということは、その根源のなにかも在るはずだ。
もしかしたら、なにもない”無”なのかも知れない。
“在る”であれ”無”であれ、理のなにかを空と呼ぶことで人間に意識できるようになる。
色である食と水の自然の恵みを断つことで、自然の根源である空を体感できるのだと感じる。
この空と向き合うことが、この世界で生きることのなにかを感じ、生老病死の苦しみを、受け入れ、解脱し、苦しみが楽しみになっていく。
あとはこの体験を日常生活にどう活かしていくのか、これからの人生の課題となっていく感じである。
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